次回の日銀会合('23年4月)でYCC修正の可能性

本日(2023/4/23 Sun)、産経新聞から以下のような記事が公表された。

www.sankei.com

 

これを以て次回の日銀会合での政策修正が行われると予想する声も多いが自分は5日後に迫る次回会合においてすぐの政策修正はないだろうと予想する。むしろ、次回以降の会合において修正するために市場に織り込ませる意図の記事ではないか?と考えられる。

 

植田総裁はまだ就任して間もなくその意思決定の傾向を掴めるほどの情報はないのだが、不意打ちだらけの黒田総裁時代の日銀とは異なり、バーナンキ氏やドラギ氏と同じくMITのフィッシャー氏の下で米国流の経済学に触れた植田氏であれば、徐々に市場に織り込ませる方針を取るだろう、と自分は推測している。

その上で、記事をよく読んでみると、「日本がデフレに陥った四半世紀」までを範囲に含めた上で「金融緩和策の点検・検証を実施」の議論を始めると書いてあるだけであり、文章通り受け取るのであれば、次回会合で行われるのは総括であり政策修正ではない。(もっとも正直にYCC修正を行うなどと記事にするわけはないのだが)

 

市場の織り込みを重視するのであれば、会合の一週間前にこのような記事を飛ばしても効果は薄いし、何より先日ロイターから公表された金融政策現状維持の内容と矛盾する。何より総裁就任直後の会合からこのように市場の裏をかいてしまうことは市場とのディスコミュニケーションに繋がる。

これらを考慮すると、この記事の目的は次回以降の会合で政策を修正していくための助走であると解釈する。つまり、あくまで28日の会合では政策を維持するものの、会見や声明などで緩和の副作用について言及することで、今後の断続的な政策修正のための地盤を整えていくのではないかと考えるのが妥当だろう。