今後の相場見通しについて('23, 5/4)

完徹で5月FOMCをリアタイした直後にこれを書いている。書く予定はなかったのだが、友達との待ち合わせまでちょうど程よく時間が空いたので昨夜のFOMCを受けた今後の自分の相場見通しを記録しておきたい

FOMCについて

自分が覚えている限りのパウエル氏の主張をまとめる。と言っても特に新しい情報はないかもしれない。声明文は以下のURLを参照して欲しい。

Federal Reserve Board - Federal Reserve issues FOMC statement

・米国の銀行は健全で弾力性がある (sound and resilient)

Fedはインフレ率を2%に戻す努力を惜しまない

・インフレ率を2%に戻すにはまだ時間がかかる

Fedはインフレ率の下落に時間がかかると予測している、市場は利下げを早く織り込み過ぎている

・今後の利上げはデータ次第である

・債務上限は引き上げられる必要がある(がそれはFedの手出しする範疇ではない)

・米国経済は減速しており、今後緩やかなリセッションに陥る可能性がある

・賃金上昇はインフレの主要因ではない

 

最後の二つが特に面白いと思ったので太字にした。自分のリスニング力が間違っていなければ、パウエル議長は記者の質問に対して「インフレがcooling offするためには雇用市場の減速を確認する必要がある」とも発言しており、全く整合性が取れないではないか。もっとも思ってることを正直に言えば米株は軒並み暴落するのでその気苦労は伺える。

更に面白いのは、パウエル議長が米国の銀行はsound and resilientと発言した1時間後にPacWest Bancorpが買収を検討している報道がなされ終値6.4ドルであったところを場外で2.8ドルまで売られ、事実上もう一つの銀行破綻が訪れたことであろう。映画「マネーショート」を思わせるような展開である。

〇株式

日本株/米株について

前回30500を超えることはなくそのうち折れるだろうとした予想は当たっていたが、自分的には30000を触ってから折れるだろうと思っていたところを実際には29300で折れてしまったので当てたことにはならないだろう。今から一か月以内に雨が降ると言っているのと大差ない予想であった。もっとも自分は実行しなかったものの、ナンピン覚悟で上がったところを売っていくという戦略はそれなりに有効であった。

この記事を書いている現在も米国地銀ETFのKREは抵抗線をブレイクしている。

米銀行株の売られ方は第二のフェーズに入ったと自分は考える。今までのSVBやFRCは銀行特有の経営スタイルに依存した問題であったが、現在の売りは市場の疑心暗鬼によるものであり、より全体に波及する問題であると思われる。

株式市場は銀行株に起因するリスクオフモードに入ったと考えるべきであり、米株での下落は日本株にも波及してくるであろうと思われる。そのため、日本株・米株双方に対して売りで入り、銀行に対する不安がおさまるかテクニカル的な反発に遭遇するまでそのポジションを維持するという戦略を実行していきたいと考えている。

〇為替

前回ドル円は135を天井としたレンジとなるとしたが、植田総裁が黒田総裁を受け継いだ想像以上のハト派姿勢を見せたことで円が売られ、200日平均を突破しドル円は137.4まで到達してしまった。現在はリスクオンによって134円半ばまで円が買われている。

今後の戦略としては、再び世界一ハト派中央銀行となった植田日銀の姿勢よりもリスクオフの円買いが優先されると考え、ドル円が以下の図に示した中期のトレンドラインを突破し130円まで下落していくことをメインシナリオとしたドル売り円買いのポジションを作っていきたい。

ドル円1H足。MA=200

〇その他(コモディティなど)

コモディティをその他に纏めるのは雑に思われそうだが、コモディティボラティリティの高い理不尽な値動きが多くレバレッジを掛けた状態ではまず利益を上げられないアセットクラスであるという認識があるので、あまり真面目に議論するつもりがないためにその他扱いにしている)

原油OPECの減産姿勢よりもリセッションを織り込んで下落するとした前回の予想は当たり、現在原油はフリーフォールして66ドル程度となっている。(ポジションを持っていないものほど当たるのが世の常)筆者としてはやや売られ過ぎの感を認め、トレーダーとしてあるべき姿はロングすることだと考えるのだが、マクロに逆らうと焼かれてしまうものなので、特に値動きを予想することは出来ない。

 

米国債について。相変わらずDebt Ceilingはチキンレースの茶番であるという見方は崩しておらず、イエレン財務長官が示したデッドラインである6/1までに決着すると見ている。この市況でもしも決着せずに米国がTechnical Defaultに陥ればそれこそ大惨事であり、米議会もそこは百も承知であろう。決着が付けばリスクオフと合わさって米国債に資金が流入しやすい状況であると考え、その前の5月末にTMFを買い増しする予定である。

 

同様に金については、①米国のDebt Ceilingが市場に緊張感をもって受け止められていることがリスクオフの金買いを誘発していると考えられること、また②株式市場の下落は必ず金価格への下押し圧力となること、更に③金が歴史的な天井圏にありテクニカルな売りが入りやすいこと、以上を踏まえると6月末にかけて金価格は一旦の下落傾向を見せるのではないかと予想する。