大学生活で読んだ投資本まとめ

Twitterでの需要が結構あったので、卒業を機に(休学一年を足した)5年間の大学生活で読んだ投資本と感想をまとめてみたい(タイトルの横にある星の数がおすすめ度、5がMAX)

 

基礎知識系

・本当にわかるシリーズ(株式★3、債券為替★5)

債券と金利、為替市場、株式市場の三部作でどれもかなり良かった。株編だけはフツーだったので株式オンリーのボトムアップな人だったら読まなくてもいいかも。FXやグローバルマクロに基いたトレーディングが好きな人だったら前2つはオススメできる。

 

ダイヤモンドzaiの株入門 ★5

日本の個別株投資を始めたいなら必読の一冊。タイトルも表紙も怪しい感じだが、基礎から応用まで必要なことが十分に詰め込まれててとてもいい。某有名個人投資家が擦り切れるまで読めと言っていたような記憶がある。

 

ウォール街のランダムウォーカー ★3

言わずと知れた名作。読んだのが大分昔で記憶が曖昧だがストロングフォームの効率的市場仮説を信奉してる本だった気がする。でもそんなこと言いだしたらインデックスファンド以外買うなという結論になるし(実際そんな結論だったっけ?)、αを出し続けている人間が実在することに反するのでこの本の主張自体は有害無益。ただ初心者にとってはこの本を読んで市場が(ある程度)効率的であると分かった上で、では市場に対して優位に立つにはどのようにすればいいだろう、と考えるベンチマークになるとは思うので一応最後に回して紹介した。

 

テクニカル系

・株の公式 ★4

林則行というアブダビ金融庁ファンドマネージャーをやってる日本人の方が書いた本。これのおかげで僕も新高値投資教の信者になった。要約すると「株で儲けるには大きな上げを取るしかなく、大きな上げの前には必ず長い期間についての新高値を取るんだから、まずは新高値銘柄からチェックしたらいい」という主張で単純明快ながら盲点だったなと思った。今でも毎日52週新高値銘柄は見るようにしている。

 

・シュワッガーのテクニカル分析 ★3

FXを始めて二冊目に買った本がこれ。色々なパターンが紹介されているが、この本を読むと「成功事例だけを紹介しているので恰もいつも上手くいくように見える」とうテクニカルの致命的な欠点が段々と気になってくるのでそこまでおススメ出来ない。値段が3000円近くするのも痛い。

なので色々試行錯誤した結果、今の自分は①移動平均線同士の位置関係とそれぞれの傾き②大陽線・大陰線③新高値/新安値④(株・日経先物の場合は)出来高⑤分かりやすいサポート・レジスタンスの5つしか基本的には見ていない。

本質的には結局需給なので、このテクニカルサインが如何にして需給を表しているか?を考えたほうがよく、そのための練習にはなるかもしれない

 

・魔術師たちの心理学 ★2

心理学と言ってるが心理学の本ではなく、結構論理的にトレードで取るべき行動を示唆してくれている。FXトレーダーなら読んでおいたほうがいいかもしれない。内容が長く、また読んだのも大分昔で記憶が曖昧だが、ハイレバレッジでのトレードで犯しがちなミスを無為にお金を失う前に知れる点が評価できる。ただいかんせん長すぎるのと、パンローリングの出版物にありがちな意味不明な和訳のせいでやや読みづらい。決算書読んでまともな株だけを買う、みたいな投資をする人には全く不必要。

 

デイトレード ★1

これも有名な本。書いてある内容といえば「お前たちは相場の前に無力な雑魚なんだから負けて当然、だけどネバーギブアップで頑張れ」みたいな精神論が基本的に7割。投資系Youtuberなどが猛烈にプッシュしているのをたまに見るが俺にはその理由が全く分からない。負けが込んでる時に冷静になるために処方箋として読むのが良さそうなのだが、内容というか書き方が偉そうで負けてる時に読んだら破りかねない。かといって勝ってる時に読んでも何も得られない。そんな中途半端な本なので自分はお勧めしない(本との相性もあるかも)

 

ファンダメンタル系

・ファンダメンタル投資の教科書 ★4

めちゃくちゃ有名な奴。株をやるならとりあえず目を通した方が良さそう。真面目にやってれば身に付いていくような知識ばっかりだけどそれをまとめてくれてる点は評価できる。僕はファンダをそこまで重視しない人なのであまり多くは語れないが最初かなりお世話になった記憶。

 

・バフェットの財務諸表を読む力 ★2

バフェットがどのような哲学で決算書に基いていい企業を探すか、が書かれた本。表紙とハードカバーがカッコよくて買ってしまったがそこまで役に立たなかった。バフェットファンなら買ってもいいけど学べるものは多くなさそう(ファンダを重視する人なら勉強になるかも?)

 

クオンツ

・フラッシュボーイズ ★1

いわゆるHFTの黎明期について書かれた本。HFがひしめく東海岸から、CBOEがあるシカゴまでを”直線で”結ぶトンネルを掘って光ケーブルを埋め、通常20msかかる通信速度を直線距離/光速の理論値である12msに出来るだけ肉薄させることで、まともに板の注文をヒットさせたかったらその光ケーブルを使うしかないから独占的にぼろ儲けできる、みたいな話。それだけなのでまあ読まなくてもいい、あらすじとか書評を読めば十分分かる

 

歴史・ドキュメンタリー系

・Barbarians at the gate ★2

KKRによるRJRナビスコLBO、その過程における同ファンドとナビスコ経営陣の血みどろの戦いが書かれた本。確かこれが世界的なLBOの嚆矢となったはず。

イキリじゃないが英語版と中国語版でしか読んだことが無いので日本語版が売ってるのか分からない、、アクティビストフォローとかが好きな人は読んでみるといいかも。

 

・世紀の空売り ★2

今や半導体逆張りオジサンになってしまったマイケルバーリとその他HFがリーマンショックの時に米国の住宅市場を空売りした話が書かれてる。映画の方が有名かもしれないが、はっきり言って映画の方は説明足らずな割にはやたら長く、駄作と言ってもいい。なので本の方がおすすめ

 

・賢者の投資 ★5

野村証券が出版してる、かつてあった相場の大変動(リーマンショックアジア通貨危機・ソロスvsBOEなど)について詳細に書かれてる。暴落時の立ち回りを考えるうえでめちゃくちゃおすすめ。

 

列伝系

マーケットの魔術師 ★3

全4部作で、僕は全部読んだ。トレーダーだと全部読めと言ってる人がいるが、あまりに量が多いのと、パンローリングの和訳が下手なせいでそれは厳しいと思う。内容自体はどれも勉強になることが書かれている。読んでみたい人は最新版の「知られざるマーケットの魔術師」が一番読みやすいのでそこから入ってみるといいと思う。(これを読んでダメだったら他3冊はやめたほうがいい)

 

・生涯投資家(村上さんの本) ★3

村上さんが手掛けた投資についてその経緯が書かれた本。村上さんのファン、もしくは村上世彰がどんな人物か知りたい人なら必読の一冊。

 

是川銀蔵相場師一代 ★2ja.wikipedia.org

1897年生まれの是川銀蔵さんの半生とその手掛けたビジネス・投資実績について書かれた本。やや脚色・誇張しすぎじゃないか?と思うところも多々あったが、とにかくスケールがビックな人なのでたった100万200万溶かしただけでクヨクヨしてる俺はなんて情けないんだ、と思えるので元気がもらえる(?)という点でおススメ。

 

・cis本(一人で日経平均を動かす男) ★3

投資哲学的には「上下を読むなんていう無意味なことはやめて短期の確実な優位性に張れ」って言う話で終わるけどシンプルに読み物として面白いのでこれはお勧め。

 

・五月本(勝つ投資、負けない投資) ★2

そこまで実りのある本ではないかもしれない。内容的に初心者向けではあるが初心者が読むとやや難しく書かれているところがあって可食部の少ない本という印象。

主張は大体二つで(1)株で儲かるのは①優等生が100点取り続けるとき②劣等生が100点取るとき③優等生が60点取るとき、の3つだけ(2)機関が買ってくる銘柄かどうかを考えろ、にまとめられると思う(自分的には)

共著の小松原さんの書いた「仙人の祈り」というブログの方が面白くておススメ(前まで休止してたが最近復活したみたい)

小松原周のブログ

 

・清原達郎我が投資術 ★2

清原さんの手掛けた投資とその投資哲学が書かれている。かなり期待して買ったのだが、そこまで勉強になったかというと、、、。編集者を入れずに書いたみたいなので文体構成にややブログ感があり苦手な人は苦手そう。株クラの民意的には読まなきゃ人でなしみたいな感じだがぶっちゃけ必読感は全くない、興味があれば、という程度。

 

その他

・国家とハイエナ (読み物として)★5

ディストレスト投資の先駆けとなった訴訟系ヘッジファンド・エリオットマネジメントと同社を率いる共和党キングメーカーの異名を持つポールシンガーのほぼドキュメンタリー本。デフォルトすると分かっていながらアルゼンチン国債を買って額面全額払えと脅し、払えなかったら訴訟を起こして国営航空会社のボーイング747やら人工衛星の発射権やらを差し押さえて回収する人たち。黒木亮作品では一番好き。黒木亮作品は大体いいのでおすすめ(投資やる人より外銀就活とか目指してる人の方が役に立つかも)